F1アゼルバイジャンGPでストロールとフェルスタッペンのタイヤが壊れた問題。
ピレリは調査の結果、タイヤ自体に製造上の欠陥はなかったとの結論に至りました。
ピレリは当初デブリよるカットだとしていましたが、サイドウォールの内側が壊れたことによって引き起こされたと結論付けています。
その原因は、「タイヤの走行条件に関連している」とされています。
ピレリは明言を避けているものの、再発防止のためFIAと共にタイヤのコンディション監視を強化するための技術指令を更新していることから、内圧が守られていなかった可能性が示唆されています。
レギュレーションでは、タイヤが最初に車に装着された時のみ最低内圧を遵守する必要があるが、チェックが行われてレースが始まった後はタイヤの内圧が規定値未満でも違反にはなりません。
アストンマーチンやレッドブルがアゼルバイジャンの決勝でピレリが設定した最低内圧を守らなかったためにタイヤが壊れた可能性があります。正確には、監視対象である最初だけ内圧が規定値以上で、レースをしている時は規定値未満で走行していた可能性があるということです。
かつてはタイヤウォーマーを超高温にして一時的に内圧を上げて、実際コースに出ると内圧が下がるという抜け穴がありましたが、タイヤウォーマー温度の上限が定められたことでこれは不可能となっています。
レッドブルは常に規定の内圧を守っていたと主張しているようですが、真偽は不明です。
【追記】
新たな技術指令により、タイヤの監視が厳しくなります。
具体的には、走行後にもチェックが行われ、ピレリのガイダンス通りの内圧以上である事が必要となります。
フリー走行と予選ではランダムなタイヤセットと予選の最後に最速タイムを出したタイヤ、レースでは全てのタイヤセットがチェックされることになります。
レース後のチェックにおいて、チームが違反を隠すために直前に内圧を上げる事は禁止されるようです。
2022年には、全ての車がFIAの指定したタイヤの空気圧と温度を監視するセンサーを搭載している必要があるというレギュレーションが追加されます。
チームが使っているセンサーがあるものの、センサーの数値をいじって実際の数値より高く見せるという小技が可能なために、FIAが指定したセンサーを使うことになります。
レース開始3分前の内圧チェックで所定の値未満だった場合、ピットレーンスタートとなります。
2021年F1スペインGPでは、レッドブルが予選出走前にタイヤウォーマーを30秒間外してわざとタイヤを冷やして内圧を下げたと言われていますが、監視強化によってこういった戦略もできなくなるでしょう。