ホンダの欠陥パワーユニットのせいで、2017年のマクラーレンが絶望的なことになりそうです。
マクラーレンが作ったシャシーやエアロパーツはかなり良いです。ホンダエンジンがとてつもなく悪い。
16年よりもさらに酷いエンジン
プレシーズンテストでは、連続周回がまるでできないという悲惨な状況。
10周くらいが限界。
レースでは50周60周もしなければならないのに、マクラーレン・ホンダは10周しかできないんです。それ以上走ると壊れる。
フェラーリやメルセデスは余裕で50周60周連続で走れていました。
マクラーレンはプレシーズンテストの8日間、毎日トラブルに見舞われ、まともに周回できず。
おそらく今年の開幕戦では、フリー走行や予選、そして決勝でマクラーレンのマシンは止まるでしょう。
走れたとしても、とてもじゃないが中段チームと戦えるとは思えません。
今シーズンは絶望的
ホンダは、当初はカナダまでにエンジンのアップデートを入れると話していました。
しかし間に合わなかった。
間に合わなかったというよりそもそも実現するだけの技術があるのかすら怪しい。
つまり、ホンダにはF1のパワーユニットで他チームに対抗できるものを作れる人材がいないということです。
マクラーレンは今シーズンは昨年よりも非力なパワーユニットを使うことになり、ほとんどのサーキットでポイント獲得すら難しいレースになるでしょう。
ホンダPUがいかに遅いかがわかるデータ
バーレーンGPのレース時の最高速のデータから、ホンダのパワーユニットがいかに酷いかがわかります。
セクター2の短いストレートではDRSが使えます。
さらにスリップストリームも得られるのですが
決勝レース時セクター2のストレートの最高速
メルセデス・・・273.2 km/h
フェラーリ・・・269.5 km/h
レッドブル・・・268.1 km/h
ルノー・・・265.6 km/h
ザウバー・・・260.1 km/h
マクラーレン・・・256.4 km/h
アロンソはバトルをしていてここでDRSを使っていました。
それにも関わらず、なんとルノー比較ですら10キロも遅い。
セクター2の短いストレートでこれだけ遅いのです。
さらに
フィニッシュラインの最高速
メルセデス・・・298.9 km/h
フェラーリ・・・295.8 km/h
ルノー・・・295.3 km/h
ザウバー・・・292.7 km/h
マクラーレン・・・285.8 km/h
アロンソが無線で「こんなパワーのない車で走ったことない」と嘆いていましたがまさにそれを象徴するかのような遅さです。
上記のデータはDRSを使って、なおかつスリップストリームを得たスピードです。
それにも関わらず、フェラーリやルノーより10キロも遅いのです。
しかも、これはストレートの真ん中あたりにあるフィニッシュラインです。
ということは、後ろにつかれてDRSを使えない状況の場合、ストレートエンドでは30キロくらいの速度差になっているのではないか。
信頼性もズタボロですが、馬力も本当に貧弱で、2017年のホンダパワーユニットはまさに欠陥品です。
F1 語辞典: F1にまつわる言葉を イラストと豆知識でパワフルに読み解く
- 作者: 小倉茂徳
- 出版社/メーカー: 誠文堂新光社
- 発売日: 2017/05/11
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログを見る
2016年は走れてたのになんで?
と思ってる人も多いのではないでしょうか?
F1は2017年からパワーユニット(エンジン)の開発凍結がなくなりました。
これにより、どのメーカーもほぼ自由にパワーユニットを改良可能になりました。
昨年までは決められた範囲内でしか改良できませんでした。
ホンダの昨年までのレイアウトはコンパクトだけど、信頼性を維持するために性能の限界が低いという欠点がありました。
ホンダは昨年よりパワーが出せるようにした上で重心も下げるために、2017年にパワーユニットのレイアウトを大幅に変更しました。
新しいホンダPUのレイアウトはメルセデスのものを真似たと言われています。
つまり、メルセデス方式のパワーユニットを作ったわけですが、ベンチテストで目標に達成しなかった上に問題も発生。
メルセデスを真似たら技術がなくて失敗した
さらに問題も解決できないままプレシーズンテストにのぞみ、パワーユニットが欠陥を抱えているということが露呈したわけです。
プレシーズンテストではエンジンからの振動で他の部品が壊れたりセンサーに異常が出るということが起こっていたようです。これは2016年のホンダにはなかったことです。
ホンダが失敗したもの
ホンダが何を失敗したのかという事は下のサイトで説明されています。
一方で、メルセデスやフェラーリは順当にこれまでのレギュレーションでは改良できなかった部分を進化させ、昨年よりもさらにパワーのあるエンジンを作ることに成功しました。
ルノーも信頼性はまだ不足しているものの、馬力は昨年より格段に良くなっています。
つまり
メルセデス、フェラーリ、ルノー・・・パワーユニットが大幅に進歩
ホンダ・・・問題山積な上に昨年のPUと大して変わらない馬力
3メーカーとホンダとの差が昨年より開いてしまったといえます。
ここからは技術的な話
Turbulent Jet Ignition
いわゆるTJIと呼ばれるエンジンの点火技術で、メルセデスが2014年に、フェラーリが2015年に導入しています。
ホンダが技術的に遅れている部分の一つがTJIでした。
そんなホンダも2017年からTJIを導入したと推測されています。
TJIはスパーク点火よりも17%以上も燃費効率が良いようです。
しかしホンダは「燃焼形態がよくわかっていない」とプレシーズンテストの段階で説明しているように、TJIを理想的な形で導入できていないのだと思われます。
本来ならTJIを導入できていたら昨年型のPUより馬力も燃費も良くなるはずですので。
また、MGU-Hに関しては今年からホンダが採用したPUのレイアウトはタービンシャフトへの負担が大きいとされています。
メルセデスはこれを成功させているので不可能なわけではないようですが・・・
ホンダはプレシーズンテストからMGU-Hが何度も壊れています。
ちなみにですが・・・
フェラーリは「Double Anker Injection (ダブル・アンカー・インジェクション)」という新しい技術を開発中だとか。
今のF1は105kgしか燃料が使えませんから、いかに効率を高めるかがカギとなります。
もう言い訳はできないホンダ
2015年は参戦初年度でなおかつ研究期間が他より短かったから駄目だったという言い訳ができました。
2016年は開発凍結されてるからこれが限界という言い訳ができました。
しかし2017年はもう開発凍結がないわけです。しかも3年目。
2016年中に新しいレイアウトを研究する時間もあった。
2017年からは完全に「パワーユニットの性能が悪い=技術がない」となり、言い訳もできなくなります。
F1をナメていた
ホンダは頑なに自社のスタッフでエンジンを開発しようとしました。
フェルナンド・アロンソは、ホンダの体制や哲学には問題があったと指摘しています。
「ホンダはもっと外部の有能な技術者に頼るべきだった」とアロンソは言いました。
フェラーリは2014年は苦戦しました。しかしその後、メルセデスから有能な技術者を引き抜き、それによって2017年にはフェラーリのエンジンはメルセデスに匹敵するレベルになりました。
ホンダはF1とハイブリッドのパワーユニットを侮っていた。
もっと貪欲に、他のメーカーから有能な技術者を引き抜いてくるということをすべきだった。
そう言わざるをえません。
唯一の救いはシーズン中の改善
今年は1シーズンで使えるパワーユニットは4基と決まっています。
5基目を使うとペナルティが課せられます。
しかし、昨年と違ってトークン制度が廃止されたので、ペナルティ承知でシーズン中にどんどん新しいスペックのパワーユニットを投入することもできるのです。
もしホンダが今後パワーユニットを改善できるのであれば、今抱えている問題はシーズンのどこかで直すことができるかもしれません。
ただ、問題が直ったとして、果たして馬力が出るのかどうかは未知数です。
また、問題の解決が開幕までに間に合わなかったということはチームにとって大きな痛手となったわけです。