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F1、WEC、インディ、などモータースポーツの話

F1やインディカー、GP2のエンジン音について。F1のエンジン音はなぜあんなに小さいか

F1のエンジンが1.6L V6直噴ターボになって3年が経ちました。

 

まず、この記事はモータースポーツの初心者の人向けに書いていますので、詳しい人には今更なものであることをご了承ください。 

 

ターボやMGU-Hが音を小さくさせる

2017年現在のF1のパワーユニットのエキゾーストノートは非常に小さいです。

2.4リッターV8自然吸気エンジンだった2006~2013と比較すれば圧倒的な差です。

 

単純に排気量が少なく、さらにシリンダーの数も少なく、自然吸気ではなくターボ(過給)で、エンジンの回転数も1万2000回転以下というのがその理由です。

しかし、最大の理由は「MGU-H」です。

 

MGU-Hは排気熱のエネルギーを再利用する最先端の技術です。これをつけることで、筒の中を通しているような音になり、音量も小さくなります。

 

インディカーの今のエンジンは2.2L V6ツインターボで、ハイブリッドはついていないので、1万回転ちょっとでも圧倒的にF1よりも迫力のある大きな音がします。

 

また、下位カテゴリであるGP2(F2)は4.0L V8自然吸気エンジンであるため、F1よりも遙かに迫力があるエンジン音になっています。

 

日本のスーパーフォーミュラは2L 直列4気筒ツインターボであるため、F1ほどではないにしろやや迫力に欠ける印象です。

 

かつてのF1のV8エンジンやV10エンジンは18000rpmという途方もない回し方をしていたので、あれだけ甲高い音がしていました。

 

2004年のF1マシンの排気音(自然吸気 V10 3.0L@19000rpm)

www.youtube.com

 

 

V10もV8も回転数はそこまで変わらないのですが、シリンダーの数や排気量が減るとV10→V8くらいの音の差が生まれてしまいます。

ターボによる過給が行われるとエンジン音は鈍くなります。

しかし、エンジンの回転数が高くなくとも馬力を出すことが可能です。

 

1万回転でも十分なパワーが出せるのが今のF1のターボエンジンです。

つまり、排気音がうるさくなくても昔のエンジンよりも馬力を出せているのが今のパワーユニットということになります。

ハイブリッドによって、1.6リッターのV6エンジンでも1000馬力に近いようなパワーを生み出せていますが、熱回生のMGU-Hとターボの組み合わせ、そして少ない排気量は、エンジン音をこれでもかというほど小さく、鈍い音にさせています。

  

つまりこういうことです。

 

  • ターボチャージャー→自然吸気よりも音が小さく鈍くなる
  • V型6気筒→V8よりも音が小さくなる
  • 1.6リッター→2.4Lよりも音が小さくなる
  • MGU-H(熱回生)→ノンハイブリッドのときよりも音が小さくなる
  • 1万2000回転→1万8000回転の頃より音が小さくなる

 

これだけ音を小さく、鈍くさせる要素が満載なのが2014年以降のF1エンジンということになります。

ターボチャージャーとMGU-Hという音を小さくする装置の二段重ねによって排気音が小さくなっているのです。

 

そもそもF1は1988年まではターボエンジンで音は鈍かったのですが、当時のホンダターボエンジンが強すぎたために自然吸気にするようにFIAがルールを変えました。その名残りが2013年まで続いていたというわけです。

 
1988年のF1マシンの排気音(V6 ツインターボ 1.5L)

昔のF1のターボエンジンの排気音です。自然吸気より遥かに小さい音なのがわかると思います。

 

自家用車ではエンジン音がほとんどしないような車も増えていますが、もはやエンジン音は単なる"嗜好"でしかなくなっていると言えるのかもしれません。

かつてのアウディのLMP1に至っては、エンジン音がほぼ聞こえない、風を切る音とモーター音という衝撃的なものでした。

 

ただ、ハイブリッドはお金がかかるので、F2、インディカー、スーパーフォーミュラ等で全車に導入できるようになるにはまだ時間がかかるでしょう。

スポーツカーやGTカーはエンジン音自体をウリにしているところもあるので、需要がある限りは残るでしょう。

 

おそらく今のF1に使われているようなハイテクなパワーユニットは、いずれ日本のレースにも導入されてくることでしょう。

 

昔のF1の、1000馬力オーバーのモンスターエンジンは非常に魅力的ですが、2021年以降にFIAがいったいどんなエンジンをF1に採用するのか、注目が集まります。

 

F1の排気音が以前のようになる可能性は限りなくゼロ 

そして、MGU-Hは先進的な技術なので、これを捨てるということはまずありえないです。どの自動車メーカーも1000億円近い開発費を投じています。

ですので、おそらくF1の排気音は今後も大きく変わることはないと思われます。

MGU-Hはトップカテゴリの中ではF1にしか使われていません。(17年現在)

 

個人的には昔のF1のようにV10、V8、V12、様々なエンジンが入り乱れるレギュレーションの方が楽しめそうです。

80年代のF1は本当に異なるメーカーのエンジンでは100馬力の差があったりしましたからね・・・。100馬力なんて差があったら勝ち目がない。

 

MGU-Hについてはホンダが解説動画を公開しています

www.youtube.com

 

MGU-Hは将来的に自家用車にも導入され、燃費の向上につながることでしょう。

 

 

図解 自動車エンジンの技術

図解 自動車エンジンの技術