F1「スーパークリッピング」の問題は議論しても意味がないという話

F1で、エンジンを使ってバッテリーをチャージする「スーパークリッピング」が話題となっています。

これにより、ストレートエンドがめちゃくちゃ遅くなるという現象が起こります。

 

F1ではどんなルールだろうと最も効率の良い走りが求められるので、当然エンジニアは最高効率の走り方を見つけます。

ストレートエンドよりも、立ち上がり加速を重視した方がタイム的に優れるからやっているわけです。

 

カーボンニュートラルを推し進めるF1というスポーツにおいて、これらの是非を議論することは全く意味を成しません。

 

もしエンタメ要素やドライバーの快適さを追求するなら、V10の3L自然吸気エンジンでレースすれば良いのです。

今のF1で「V10のNAエンジンを使う」などと言い出したら、ホンダのような企業はすぐ撤退するでしょう。

要は、自動車メーカーや自動車業界の向かう方向と、エンタメとしてのレースは合っていないのです。

単にお金がかかりすぎるから日本のSFやSUPER GTはハイブリッド化していないだけです。

 

まもなく、フォーミュラEは800馬力を超えると言われています。2027年のレギュレーションです。

電気自動車レースで300km/hを超える時代になります。

もちろんエンジンサウンドはありません。

 

過去にも技術規則で様々な物議を醸すことがありました。

例えば、「すぐ摩耗して崖がくるタイヤ」です。

2010年代では、2回ピットストップをさせるために、摩耗しやすいタイヤが投入されました。

最近では崖がくることはまずありませんし、1ストップで行けてしまいますが、2ストップや3ストップをした時代もありました。

 

戦略的な面白さがあった「給油」も廃止されました。

燃料搭載量の差によって、見かけ上は白熱したバトルになっていたこともあります。

 

また、2000年代中盤以降は「オーバーテイクができない」ことが問題視されました。

空力性能が先鋭化した結果、後方乱気流でパフォーマンスが簡単に失われてしまうため、後ろをついて走れないのが原因でした。

ドライビングスクール状態が酷かったです。

 

人為的にオーバーテイクを支援するため「DRS」が導入されました。

つまり、10年以上使われきた「DRS」は、人の手で追い抜きをしやすくするものであり、昔のF1のような自然なオーバーテイクではありません。

ベテランドライバー達は「順位を守れない」と不満を口にしました。

 

新レギュレーションのF1もブーストボタンによる人為的なオーバーテイクと言えますが、結局これはDRSと大差がない。DRSを後ろの車しか使えないのなら、人工的なオーバーテイクです。

 

ドライバーから不満が出るのは、今の多くのF1ドライバーは、下位カテゴリー時代は内燃エンジンのみのマシンで経験を積んできたからです。

 

下位カテゴリーではハイブリッドにする余裕はないので、ターボエンジンや自然吸気エンジンを使います。

彼らは内燃エンジンでのレースをずっと学んできた。F4、F3、F2などで内燃エンジンのみでレースをしてきた。

 

ハイブリッドのパワーユニットでレースをすることは彼らにとってこれまで蓄積した経験が活かしづらく、直感的ではないから不満が出るというわけです。

 

WECのハイパーカーも、ル・マンのストレートエンドでは失速します。

もちろんハイパーカーは電気エネルギーの割合が小さいので失速のデルタはそれほど大きくないのですが、昔のル・マンと比べたら最高速は遅い。

 

ただ面白く迫力があるだけのF1なら

  • V10 3L自然吸気エンジン
  • ハイブリッド無し
  • 給油有り
  • DRS無し

でやれば良い。

ですが、それはF1というスポーツ自体が持続不可能になるからできない。

 

緊急でどうにかしたいならもう電気の方の出力を下げるしかない。しかし根本的な解決にはならないような気もします。

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