最終戦ということでフリー走行よりも前に展望を書いておきます。
まずヤス・マリーナ・サーキットのレイアウトが少し変更されています。
チャンドックがシミュレーターで走っている映像があるので載せておきます
セクター1を抜けた先のシケインがなくなっており、4コーナーからヘアピンまで直線と化しています。また、ヘアピンは以前のレイアウトより緩くなっています。
そしてバックストレートの2本目を抜けた先にあった連続コーナー(旧11~14コーナー)が1つの長いコーナーになっています。
また、セクター3の低速コーナーの角度がわずかに緩くなっています。
したがって、ラップタイムは昨年までのレイアウトより速くなります。
そして最終戦の勢力図ですが、レッドブルがメルセデスより速いと予想します。
その理由は
の3つが主に挙げられます。
まず、以前から言っているようにレッドブルRB16B自体はシーズン後半に入れまくったアップデートのおかげでメルセデスW12よりも速くなっています。
前戦サウジアラビアGP予選が顕著で、フェルスタッペンはクラッシュしていなければ0.3秒ほどの差でポールを取れています。
カタールやサウジアラビアのように走行データが不十分なコースとは異なり、ヤス・マリーナ・サーキットは昨年もグランプリが行われ、テストもするような馴染みのコースです。レイアウトが変わったといっても劇的な変化ではなく、セットアップを合わせ込むのはそれほど難しくないため、車本来の性能が引き出されることになります。
そしてセクター3の低速区間ですが、リアタイヤをオーバーヒートさせずに持たせるという点でレッドブルのマシンの方が向いています。
今シーズンのレギュレーション変更によるフロアのカットやディフューザーの制限により、メルセデスの車はリアのダウンフォースを大幅に失っており、リアリミテッドのサーキットでタイヤのオーバーヒートに苦労しています。
メルセデスが速かったロシアGPですら、低速のセクター3はメルセデスよりもマクラーレンの方が良かった事からも明らかです。
これをカバーするためにリアウィングでダウンフォースをつけるので、ドラッグによりセクター2のアドバンテージも大して無いでしょう。
ついでに触れておくと、過去数戦と比べてパワーの寄与率が低いコースです。
最後にヤス・マリーナ・サーキットの路面ですが、常設コースにも関わらずC4→C3の1ストップで行けてしまうほどタイヤに優しいサーキットです。そして、予選も決勝も夕方に始まるトワイライトレースのため、中東でも路面温度はそれほど高くありません。
1ストップが盤石で戦略の幅が狭いため、メルセデス陣営が戦略的に勝ちに行きづらいはずです。
スプリント形式の金曜日予選も合算すると、メルセデスは今シーズン11回の予選トップタイムを記録していますが、C5でポールを取ったことはありません。そして今回、C5コンパウンドがソフトタイヤに選ばれています。
なお、昨シーズンのアブダビGPの結果は参考になりません。
昨シーズンのアブダビGPではメルセデスPUのMGU-Kに懸念があり、本来の性能が発揮されていなかった事に加えて、メルセデスがテストタイヤに焦点を合わせたセットアップをしていた事、さらには新型コロナ感染からの病み上がりでハミルトンが完調ではなかった事などが理由です。
メルセデス陣営としては、路面がバンピーではないこととコース改修でコーナーが減った事はプラスに働きますが、それでもレッドブルほどプラスの要素は多くないと思われます。