日曜も暑い中行われたアメリカGP決勝。14万人の大観衆。アメリカにおけるF1も再び地に足がついてきました。来年はマイアミもあります。
スタート後の1コーナーでハミルトンがフェルスタッペンのインに入ってオーバーテイク。
序盤はフェルスタッペンがハミルトンを追いかける展開に。
予選後の記事で「アンダーカットが有効」と書いた通り、フェルスタッペンはハミルトンにアンダーカットを仕掛けました。DRSを使っても抜けないと判断したためだと思われます。
ハミルトンがステイアウトしたためフェルスタッペンはアンダーカットに成功。
ハミルトンはオフセットを作ることでコース上で勝負する作戦に。
昨日、クリーンエアーが有利だという事を書きましたが、レッドブルは早めにフェルスタッペンをピットストップさせてアンダーカットに成功したことで、タービュランスの中を走るのを回避しました。
3位のペレスはじわじわと引き離され単独走行に。トップ2人から離されずに走るのは難しかったようです。ペレスはドリンクに問題があり、第2スティント以降は脱水症状でそれどころではなかった模様。
第2スティントではハミルトンが8秒ほどあった差を3秒程度まで縮めたところでフェルスタッペンがピットストップ。ここでもトラックポジションを重視。
ハードタイヤでのメルセデスのペースはミディアムより良かったように思えます。第2スティントは3周分しかオフセットがなかったにも関わらず、ハミルトンは6.7秒あったギャップを2.6秒まで縮めています。途中のVSCがなければ2秒以下に接近していたでしょう。
第3スティントではフェルスタッペンは徹底的なタイヤマネージメントを敢行。ペースを上げすぎずにタイヤの摩耗を抑える戦略。タイヤ交換をしていないハミルトンと新品ハードのフェルスタッペンのペース差があまり大きくなく、フェルスタッペンのタイヤマネージメントは明らかでした。
ハミルトンはタイムが落ちてきたところで37周目にピットストップ。ハードタイヤに交換。ハミルトンはプッシュしフェルスタッペンとの差を縮め、ついに2秒以下に。
しかし、金曜日からレッドブルが速かったセクター1でタービュランスを受けるため、ハミルトンのペースはフェルスタッペンとほとんど変わらなくなります。
それでもじわじわと差を詰めたもののオーバーテイクを仕掛ける状況まで持っていくことはできず決着。
昨日、「フェルスタッペンは優勝に半分手をかけている」と言いましたが、正しかったですね。
LAP 55/56
— Formula 1 (@F1) 2021年10月24日
This is INTENSE 🤯
It is neck and neck between Hamilton and Verstappen, how will this play out?! #USGP 🇺🇸 #F1 pic.twitter.com/Y1PJpVA7G8
気づけば3位ペレスとトップ2人の差は40秒も開いていました。
ほぼ一人旅だったルクレールが4位。
サインツを押さえきったリカルドが5位。リカルドは1周目でサインツをかわしました。
フェラーリVSマクラーレンの戦いは非常に見ごたえがありました。
Did someone order a @McLaren sandwich? 😉
— Formula 1 (@F1) 2021年10月24日
What a chaotic first lap for this bunch! 🤩#USGP 🇺🇸 #F1 pic.twitter.com/1kiJWTDBeD
9番手スタートのボッタスは6位まで上がってきました。ペースはマクラーレンより1秒速かったですが、フェラーリのサインツをオーバーテイクするのにかなり手こずっていました。
サインツよりタイヤに余裕があったボッタスが10周以上かけてやっとオーバーテイクできた状況を見ると、ハミルトンがフェルスタッペンをコース上でオーバーテイクするのはおそらく不可能だったでしょう。
サインツはリカルドに迫っていましたがオーバーテイクできず、タイヤの摩耗を早めただけでした。
角田は今回最低限の仕事をこなし、9位でポイント獲得。
チームメイトのガスリーがリタイア。さらに脅威になりそうだったオコンもリタイア。ベッテル、アロンソ、ラッセルはペナルティで後方スタート。アロンソはリタイア。
また、別の脅威だったストロールは1コーナーでラティフィと接触。
マクラーレンと勝負するのは不可能だったでしょうから9位より上はなかったと思います。
レース前にセンサーにトラブルがあったガスリーはイタリアGP以来のリタイア。センサーはスタート前に交換していたようですが、レース中にトラブルが出ました。
ベッテルはPU交換ペナルティを受け後方からスタートしたものの、10位でポイント獲得。アストンマーチンからしたらこれは大きいですね。
今後の展望
次戦メキシコGPは完全にレッドブルが得意なサーキットです。メルセデスとフェラーリの戦いが行われていた2017年や2018年ですらレッドブルが非常に速く、2019年もフェルスタッペンが予選で0.3秒差でトップタイムだった事、また、メルセデスが2017年以降はメキシコGPであまり速くない事を考えると、今シーズンのどのGPよりもフェルスタッペンの勝ちが見えているサーキットだと言えそうです。
その次のブラジルもレッドブルが2016年以降で速いサーキットです。2018年にはオコンとの接触がなければフェルスタッペンが勝っていましたし、2019年はフェルスタッペンがポールトゥウィンを果たしています。車の特性を考えてもブラジルでフェルスタッペンが優勝する可能性は高そうです。
イギリスGPとイタリアGPの時に書きましたが、7月のイギリスが最後のアップデート投入になったメルセデスと比べると、その後幾度となくアップデートを入れたレッドブルはシーズン後半の段階では絶対的なペースが速いのは自然なことです。フェラーリやメルセデスは6月頃で既に開発のフォーカスを来季のマシンに移しています。
次の2戦でフェルスタッペンが連勝し、ハミルトンに対して14点リードした場合、チャンピオンシップは26点リードすることになります。その場合、ラスト3戦全てハミルトンが優勝でフェルスタッペンが2位だったとしてもフェルスタッペンは5ポイント差でチャンピオンを獲得できます。
そのポイント差を勘案すると、モンツァでクラッシュしてハミルトンがポイントを稼ぐのを防げた事、それが原因で貰った3グリッドペナルティを無いも同然にできたロシアGP、さらには実質レースが無かったにも関わらずポイントを奪えたベルギーGP。この3つがフェルスタッペンにとってチャンピオンシップの上でかなり効いているようです。