イギリスGPではホンダPU勢唯一のポイント獲得、ハンガリーでは自身最高の6位で好成績を残したアルファタウリの角田裕毅ですが、SkySportsで解説をしている元F1ドライバーのカルン・チャンドックは、「ツノダは夏休み中に何か考えなければならない」と指摘しています。
両週末ともに決勝では上位勢のリタイアによって入賞できましたが、ハンガリーのFP1でクラッシュしFP2を棒に振ったため「土曜までは最悪の週末だった」と振り返っています。
また、オーストリアGPでは白線を横切ってペナルティを2度も受け、予選7番手にも関わらず12位でポイントを逃しました。
対ガスリーではそもそも比較にすらならない状況です。
今年1年は「ルーキーだから」ということで大目に見てもらえる可能性が高いですが、「アルボンはアルファタウリに復帰させる価値があるとレッドブル陣営は思っている」とチャンドックはコメントしており、「レッドブルは交替要員に困らない」と指摘しています。
具体的にはレッドブル育成ドライバーの台頭があります。
今のレッドブルジュニアチームには以下のような顔ぶれがいます
- リアム・ローソン
- ユーリ・ヴィップス
- ジャック・ドゥーハン
- デニス・ハウガー
- ユアン・ダルバラ
- 岩佐歩夢
シート獲得があるとすればアルボンが最有力ですが、育成ではF2のローソンとヴィップスはもちろん、F3で首位を独走中のハウガーもいます。岩佐も最近F3で優勝して存在感を示しています。
チャンドックがレッドブルは交替要員に困らないと言っているのも頷けます。
ユーリ・ヴィップスは2020年の救済措置を利用して既にスーパーライセンスを取得しており、いつでもF1に乗る準備はできています。
さらに、レッドブルのヘルムート・マルコは最近、リアム・ローソンについて「F1で戦える能力がある」と評価。ローソンは既にミルトンキーンズでレッドブルのシミュレーターを担当しているため、レッドブルは彼がF1でどの程度のパフォーマンスを引き出せるのかわかっています。
マルコはローソンについて、F2とDTMという全く異なる車の両方を乗りこなしている事を高く評価。ローソンはF2だけでなく、今年度から初参戦したDTMで経験豊富なドライバー相手に優勝し、DTM史上最年少のレースウィナーとなりました。
マルコは「神は彼に信じられないほどのスピードとコントロールを与えた」と絶賛。また、自分の弱点を見つけて修正できることも評価しています。
ゲルハルト・ベルガーからも「DTMだけでなくF1でも」と太鼓判を押されています。
角田にとって幸いなのは、アルファタウリ(トロロッソ)は基本的には1年で新人ドライバーを切らないということです。サインツがトレードされて急遽乗ることになったハートレーという特殊な事例を除いて、どんな結果でも2年は走らせてもらえます。(またはレッドブルへ昇格)
一部報道では、育成ドライバーの成績に関わらず、アルファタウリは2022年もガスリーと角田を継続するだろうとされています。
角田にとってのベストなシナリオは、ペレスが今年あるいは2022年でレッドブルとの契約を終えることです。その場合、ガスリーが2023年にレッドブルへ再び昇格し、アルファタウリのシートが1つ空く展開になり、2022年マシンの経験がある角田がシートを維持できる可能性が高くなります。
また、ガスリーがアルファタウリで実力を証明したことにより、レッドブルはもはやドライバーラインナップに悩まされる必要がなくなっています。
ペレスを替えるならガスリーがおり、アルファタウリのシートが空けばアルボンがいる。急いで新しいドライバーを見つなければならない理由はありません。
いずれにせよ、角田がシーズン後半で安定した結果を残すか、ガスリーに匹敵するような速さを見せれば杞憂に終わるでしょう。
ちなみにニコ・ロズベルグはガスリーをレッドブルに再昇格させるべきだと主張していますがそれについては別記事で。